吉村流上方舞の特色 (1)

吉村流上方舞の特色は、能の舞を柔らかにくずし、あるいは堂上に伝えられ

た御殿舞を源とし、座敷舞として完成されたことにあります。

地唄の三弦にのってゆったりと舞うものが多く、四世家元の吉村

雄輝の舞姿は夢のように美しく、時に艶、時に軽妙な切れ味の良い繊

細巧緻な技で観客を魅了しました。また、5世家元吉村雄輝夫も勝ると

も劣らぬ名人でした。

江戸で完成された歌舞伎踊りに比べると、一目瞭然で外に力を発散す

る踊りに対して気持ちも動きも内に力をためて表現するのが上方舞の

特徴です。お能と同様、顔で喜怒哀楽を表現することもなくあくまでも舞

という凝縮された動きの中で人間の内面を表現していくわけです。

地唄 閨の扇